32.
アクアマリンを握って眠ることもない夜
本当は大人ぶりすぎて引き際を外しただけの子供
書けない私のまま君に会いに行く
夜が西に去っていく時分
失われる時間
さっきまで夢を見ていた
陳腐で浅はかな宝石にだまされていた
夢を忘れた私のままで 君に会いに行く
夢を忘れた君と私で
形骸化した万華鏡を交換する
筒の中にしか もうない
29.
ことば、ことば、ことば、
毎日、ことば、、、
疲れたなあ
ことばがあるから書けるのに
取りこぼさないことができなくて
それから一歩も動けなくなる
正しくないことばの応酬
それでいいよと言い続けるその先にあるもの
誰かと居れる、気がしない
私はすごくさみしいのに
28.
アクアマリンの
つめたい手触りがすき
押し付けがましくない慈愛がすき
気付かれないやさしさがすき
3月とおひつじの二律背反
許してくれる気がしてすき
水を湛えて涙にも寛容な
その表情がすき
すき すき すき
明日地球がなくなっても
あるいはまだまだ続いても
もう大丈夫だよ
27.
壊れていく私が 良くなっているんだそうだ
忘れる 神様も大事な人も大事じゃない人も
何も思い出さない辛くない悲しくもない
笑っている いいこと
何者かである私は笑っている 見知らぬ土地で
壊れていくだから良くなっている
手放したはずのものが 砂鉄みたいにさらさらと強力に集まってきて私を取り囲み
抱きしめすぎたそれでいいよは
生き埋めで見殺しのまま
毎日何かを忘れて笑っている
大事な予感の糸口が見つからない 笑っているしかない
私は良くなっている
26.
10ねんまえに かきましたか
わたしはこれを
それほどまでに
あっとうてき たにんかん
ぜんあくは そこそこにしましょう
おとなです
まごうことなきおとなです
それでいいよ の
さきにあったもの
それと
なくならない
じんせいの きれはし
24.
だるま落としを斜めに積んでも
上のまると下のまる
ある程度のところまでは
同一線上に戻せるけど
ある程度を過ぎちゃったら
なかなか下のまると同じところに
持っていけないね
すとん すとん すとんって
下から順に抜かれたら
残るまるって何者なのだろうね
まるには違いないけれど