16.

圧倒的な無垢が何処かへ行ってしまう。

それは、奥底に沈めてあった。

あるいは、それに意思があって、永遠に沈んでいるかのようだった。

 

悪意のことは知らなかった。

だから、悪意についての言葉をひとたび聞いたら、簡単に開いてしまった。

それは苦しく、開いてしまったが最後、皆が互いに苦しさを押し付けあって生きているのかもしれないと思った。

 

無知は罪だというけれど

行かないでと叫びながら、

今は、新しさの虜になるのだと

自分をひたすら呪い続けている。